Life is Like a Boat

忘備録や経済、投資、プログラミングに関するメモやtipsなど

日銀審議委員の講演を読む

前年同月比でみたCPIや生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIが日銀が目標とする2%からジリジリ離れている状態です。 f:id:nerimplo:20180723171753p:plain よく日銀の声明文でみる「物価上昇のモメンタム」について、一体何を持ってモメンタムが維持されているとするのか、審議委員の講演記録やインタビューなどを読んでみると、だいたい2パターンで「モメンタム」の趨勢を見ているようです。

  • 需給ギャップ

  • 予想物価上昇率


このうち、需給ギャップについては政井審議委員が講演で下記のような見解を出しています。http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180706a.pdf

  • 資本や労働の稼働率を示すマクロ的な需給ギャップは改善方向

  • 原材料コストや宅配便などの貨物輸送コストが揃って上昇

  • 企業物価指数や企業サービス価格指数は上昇トレンド

  • 労働需給の引き締まりを背景に人件費も増加傾向


労働需給の逼迫が続き、企業の価格設定のスタンスが変わってくるので、人々の物価観も変わってくる。その物価観が下げトレンドに入ったとは言えないという見解ではないかなと思います。

足元の物価上昇率に引きづられやすいとみられている予想物価上昇率については一先ず置いておいて、このモメンタムが下げトレンドになった時の対応として若田部副総裁がこのように答えています。

モメンタムの弱さが一時的ではなく、トレンドだと明らかになってくれば、追加緩和を考えざるを得ない。その際の手段については、イールドカーブ・コントロールにおける長短金利の変更や、買い入れ資産の多様化、国債買い入れを通じたマネタリーベースの拡大ペースの拡張など、すでに様々な手段がある。それを動かすだけでもかなりのことができる」 https://jp.reuters.com/article/wakatabe-boj-idJPKBN1JO0W4

気の早い人はやれ出口だ、縮小に向けて政策変更だ、もうモルヒネは続けられないだなんだ言ってますが、この辺が審議委員のコンセンサスじゃないかなと思います。


ちなみに、副総裁は上記のインタビューで財政政策に関してこう言及しています。

「一般論だが、金融緩和をこれだけしている中で、政府が機動的に財政政策を行えば、経済に与える刺激効果はその分高まる。金融と財政のシナジー効果が非常に重要になってくるし、それが経済に良い影響を及ぼすと認識している」

昨年、ノーベル賞経済学者のクリストファー・シムズ教授が提案した、ゼロ金利下限(Zero lower bound)と低インフレから脱するために、金融緩和と財政拡大を協調して実施する案に近いですね。日銀は財政政策に関与できないので、政治側の話ですが、秋の自民党総裁選で論点に上がるかもしれません。


また、欧米の中銀が正常化する、追加的な緩和余地を作るために、早めに出口に出て政策対応余地を作れという前からしつこく聞く主張ですが、これについては、雨宮副総裁が

早めに出口を出て政策対応余地を作っておいた方が良いという声があるほか、早めに出口に向かうことで市場動向等に悪影響を与え、デフレに後戻りしてしまうリスクを高めてしまっては元も子もないという声もある」 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-27/PAX0X36JTSEC01

と発言していることから、向こう何回かの決定会合で正常化に舵を切るとはとても考えられないでしょう。

決算発表の集中期間、キーワード「値上げ」に注目する

続々と決算が発表されております。

先日、"値上げ"をキーワードにして四季報オンライン検索をしてみました。

この結果を元に、単純ですが決算発表日の翌日Openで買って、Closeで売る戦略をとった場合のリターンを計算してみました。
先週25日から27日発表分までの成績は9勝5敗1分です。

注目は陸運業。GW明けごろから軟調だったところもあり、業績を好感した上げになってます。 人件費や燃料費をうまくこなして売上高営業益率が前期比プラスとなっていると、なおポジティブな印象をうけます。 このモメンタムが続くか注目したいところです。

社名 業種 決算発表日 リターン(%)
ハマキョウレックス 陸運業 2018-07-27 4.88
北陸電力 電気・ガス業 2018-07-26 2.41
日立物流 陸運業 2018-07-26 2.3
東洋シヤッター 金属製品 2018-07-27 2.07
アイカ工業 化学 2018-07-26 1.61
ジェコス 卸売業 2018-07-26 1.24
日本精化 化学 2018-07-27 0.72
カナレ電気 非鉄金属 2018-07-27 0.47
日本エスエイチエル サービス業 2018-07-27 0.46
ヒガシ21 陸運業 2018-07-27 0
中部飼料 食料品 2018-07-27 -0.13
ヤスハラケミカル 化学 2018-07-27 -0.63
ヤクルト本社 食料品 2018-07-27 -1.71
白洋舍 サービス業 2018-07-26 -2.2
コマツ 機械 2018-07-27 -2.83

MV見て、映画「詩季織々」への期待値が上がった

「君の名は。」や「秒速5センチメートル」の制作会社コミックスウェーブによる最新作「詩季織々」が8/4に公開されます。

 

主題歌はビッケブランカが歌う「Walk」

 

映画の公開を前にそのMVがYoutubeで公開されています。

 

三部作で構成される映画。舞台は全て中国だそうです。

 

それぞれ北京、広州、上海が舞台。第1話「陽だまりの朝食」が祖母と孫、第2話「小さなファッションショー」が姉と妹、第3話「上海恋」が幼なじみという人間関係を主軸に、現実と過去が交錯する叙情的な世界が展開する。https://www.sankei.com/smp/premium/news/180728/prm1807280001-s1.html

 

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MVは主に「上海恋」のシーンを中心に構成されているようです。


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ジュベナイルなキャラクターはなぜポニテが多いのか。


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ヒマワリ畑のヒロイン。なんだか胸がえぐられる気持ちになります。


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仲の良い三人組の描写が物語のスタートなのでしょうか。

 


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MVによく出てくるカセットテープ。


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これは物語のキーアイテムに違いありません。

 

思い出や相手への思いが吹き込まれたテープを聴いて、大人になって聞き返した時にその当時の感情を思い起こされた主人公が、何か行動を起こす。という筋書きではないでしょうか。見てないので知らんけど。

 


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ビー玉もキーアイテム?


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打ち上げ花火、窓から見ちゃう系ですかね。


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すれ違いのシーンです。新海映画に必ず出てくるシーンですが、この作品を作った監督も新海監督から影響を受けたとコメントしてます。

すれ違いは切ないのぅ。


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雨でキャラクターの感情を表現するのも新海作品の特徴。


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主人公が何かに駆られて走り出すシーン。


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これはブルックリン橋からマンハッタン島を眺めるシーンじゃないですかね。タクシーもNYKのイエローキャブっぽいような。上海にもこんな光景あるんでしょうか。聖地巡礼のため、特定班の情報を待ちたいところです。

 

物語の後半で舞台が上海以外に移るのでしょうかね。

 

MV聴いて、歌詞で一文字も横文字使ってないのに気付きました。意図的なんでしょうか。

 

3部作のうち「上海恋」は、男女の想いのすれ違いがテーマになっているのではないでしょうか。公開を前にMVみて、映画への期待値が上がりました。テアトルなど限られた劇場でしか見られないようです。

100円たんけん

100円たんけん

100円たんけん

いくらでどれくらいの何が買えるか。
そういう値ごろ感っていつ頃からうまれてくるもんなのでしょう。

この絵本はモノの価値に気付くきっかけになるかもしれません。

主人公のぼくはおかあさんと一緒に100円を持って商店街の探検に出発します。
お肉屋さん、魚屋さん、ケーキ屋や八百屋に寄って100円で買えるもの、その量を知っていくのです。

ケーキ屋ではホールサイズのフルーツケーキを指差して100円分下さいとお願いします。ケーキ屋の主人はそれなら20度くらいだねとほんのちょっぴりしか切ってくれません。

寿司屋では100円でうめきゅうり巻き6個入りパックは買えても「最近値上がりしているからねぇ」と食べたいマグロの握りは買えないと知ります。

最後に100円パーキングに行ったぼくは、20分100円の場所と60分100円の場所があると知ります。

場所によって同じ100円でも車をとめられる時間が違うのです。

子供に読み聞かせてどうして駐車場のオペレーター(もちろんパーク24)はそうしたプライシングにするのか、親子で話しても面白いんじゃないかなと思いました。

我が家では小学2年の長男に聞いてみたところ、20分100円でとめる場所は急いでいる人が多いという結論になりました。

年中から小学校低学年くらいの子を持つ親御さんが寝る前の読み聞かせにちょうどいい文量です。

読書による知識の複利効果

今日の東京地方暑かったですね。週末は3歳の次男と一緒に砂場で遊んだんですが、ジリジリ照り焼きにされる感じがあります。

先日、Buffett関係のYoutubeビデオを視聴していたら、後継者の一人と言われるTed Combs氏へのインタビューがありました。 BRK.Bのホルダーの割に後継者がどういう人かあまり注意を払ってこなかったので、ざっくり経歴を紹介した記事がないかと調べていたところ、下記のリンクにたどり着きました。

このインタビュー記事でCombs氏は1日12時間読むと言ってます。

10 Questions with Todd Combs - GuruFocus.com

12時間読む。オフィスは図書館のようになっている。アニュアルレポート、カンファレンスの書き起こし、投資関連雑誌。どれもルーティーンでありふれているが、中には深掘りして調べるに値するものを見つけることがある。

読むことで得た知識はさらに知識を生むわけで、例えば、本でなくても雑誌であったりブログ記事であったり、投資家であれば有報や年次報告書など情報を頭に入れておけば、ある情報とある情報を結びつけて、何か新しい機会を生むことができると思います。

最近読んだBuffett氏関連の記事で、氏が500ページ/日の読書をする自分を引き合いに、知識の複利効果に言及してます。

Any of you can do it, and the knowledge just compounds over time.

自分は今、マーケット・サイクルのどこに立っているのか。

Oak TreeのHoward MarksがCNBCのインタビュー動画でマーケットビューを語っています。

youtu.be 下記はこの動画から起こしたメモです。

  • ETFがFANGのようなマーケットリーダー株を保有している。それらが上昇し、それがETFに資金を呼び込み、またそれらが上昇する。永久機関のようだが、我々はそんなものがないと知っている。もしそれが終わればモメンタム株だけでなくETFにとってもよくない結果になる。

  • 野球でいうと我々は8回にいると思うが、誰もどのイニングにいるかはわからない。(BuffettやJamie Dimonは6回と言っていて、グーゲンハイムのAllen Schwartz氏は巨大な嵐を呼ぶ雲が地平線にあり、太陽は沈んでいると言っています。)太陽が沈んでいるとまでは言わない。野球と違ってマーケットは9回までと決まっているわけではない。良いこともあれば悪いこともあり、分散をして冷静で居続けるべき。

  • 金利の上昇が、負債の多い企業や政府部門に影響を与えるだろう。3%、4%の金利は株式の競合となるだろう。

  • リスクのバランスをとるべき。株式は数年前と同じように割安ではない。

  • Oak Treeは今まで不人気だった新興国株式を好んでいる。投資の世界では、既に大きく上昇したマーケットに賭けるより、見向きされず下がったマーケットのリバンドに賭ける方がうまくいくものだと思う。

Howard Marks氏は著書「投資で一番大切な20の教え: 賢い投資家になるための隠れた常識」で市場サイクルの上下動は避けられないということを知るべしと書いています。
自分がサイクルのどの位置に立っているか、そしてどのような行動を起こすべきか。来月も、来年の今頃も、同じ事を問い続けていそうです。

新規上場するプロレド・パートナーズの目論見書を読んでみた

19日付の日経新聞の新規上場企業紹介コーナーでプロレド・パートナーズなるコンサル会社が上場するというので調べてみました。

企業のコスト管理に関するコンサルティングが主力。月額報酬は取らず、コンサルタントによって具体的な改善が見られたあとに成果報酬を受け取る。長期の契約をせず、具体的な解決課題ごとに契約を結ぶのも特徴で、中堅企業が主な顧客層だ。顧客の財務データ分析などに自動化ソフトを活用して業務を効率化し、成果が出るまでの期間を短くしている。(日経新聞より)

コンサル事業

企業のコスト管理を支援するため、大きく分けて二つあります。

  • ローコスト戦略

主に間接材のコストマネジメント。例えば電気代の削減。新電力に乗り換えるとか電気使用量の推移などを見て削減方法の提案と実行を行うものだと思われます。他にもコスト削減の対象となるのは勘定科目で言えば、光熱費、広告宣伝費、事務消耗品費、通信費、印刷費、清掃や警備など業務委託費、リース料、施設保守費用などがあるようです。固定費が大きい業種でこうしたコンサルサービスの需要がありそうです。

クライアント側から見ると、サプライヤーとの関係性もあると思うんですが、(例えば、値切り過ぎやでとなって、友好的な関係が壊れるとか)その辺うまくコントロールしているんでしょうね。他にも直接材コストである原材料や副資材も共同購買をしたり原価推計からターゲット金額を推定するなどして、削減成果を出しているようです。

  • その他の経営コンサルティング

CREで中立的客観的な立場から出店戦略や事業所統廃合戦略を提案。ようは、ネイルサロン店であれば昼間時間帯に女性が多いのはこの辺りなので、もし出店したら、その時間帯は単価z円のx人の来客が見込め、マージナルなコストはy円、イニシャルの出店費用はn円なのでウンタラカンタラ。。。とコンサルするんだと思います。

目論見書からはセグメントの情報が読み取れなかったので、どちらの売上や利益率が良いかわかりませんでした。

売上

クライアントからの報酬が売上となります。

経営コンサルティングにおいて一般的な報酬形態が、コンサルタントの人件費に利益を上乗せした固定報酬であるのに対して、当社では成果報酬を導入し、クライアントの企業価値向上にコミットしております。(目論見書より)

コミットするのいいですね(RIZAP

当社の主な経営コンサルティングであるローコスト戦略における成果報酬の仕組みは、例えばコンサルティング導入前後の単価に過去の実績(使用量)を乗じた金額が成果となり、その成果をクライアントが確認した時点で契約に基づき成果の一定割合を報酬として受領いたします。(目論見書より)

例えば電力代の削減であれば、コンサル前後で単価がn円下がったので使用量を乗じた金額を成果とみなす。その成果の一定割合をサポート期間内に分割して受領するようです。一括なら分割より安くなるのかな。

普通は削減効果出たら、「成果が出たら、あとはうちでやるわ、ありがとさん」でサポート期間を伸ばすメリットが薄くなる気がします。クライアントの平均的なサポート期間や、サポート期間中にアップセル、クロスセルできるような仕組みがあるのかどうか、目論見書からはわかりませんでした。

下記のデータは平均的なプロジェクト期間をしてしています。ハンズオンで乗り込んで、キックオフから成果出すまで期間が短くなっているのはクライアント側からも早くていいでしょうし、経営的にもコンサルタントの稼働量がコストに直結するはず。毎年短くなっている傾向はいいですね。

年度 プロジェクト期間(月)
H27 10.4
H28 7.6
H29 5.4

この数字の背景ですが、コンサルタントが蓄積するノウハウがこうした期間短縮に結びついているはずで、そうしたノウハウを社内で共有して、コンサルタント間の品質にムラが出ないようにする施策でもあるのではないかと思います。知らんけど。

さらにプロジェクト実施回数が増えるほどプラスの効果が表れていると思われるのがコストマネジメントの平均削減率です。

年度 削減率
H27 4.7%
H28 6.2%
H29 7.9%

(削減率 = コスト削減できた費用 / コスト削減前に支払っていた商品・サービスの費用)

最後に、主要な取引相手先は、マックスバリュ東海、キタムラ、HITOWA HD、テイクアンドギヴニーズ、コジマとなっています。5千万 ~ 12千万くらいの金額が案件の上位となるようです。

対処すべき課題

目論見書にはIPO案件ならお馴染みの内容が書いてあるんですが、コンサルなので人の採用と育成が肝なのは言うまでもなく。それに加えて、大企業への営業力と海外展開に個人的には関心あります。例えば、グローバル展開している企業の店舗が海外にあったとして、電気代を削減するなら、その進出国の電力事業者、契約プラン体系、ひょっとしたら安定供給できず停電多いとこかもしれないし、考慮すべき変数が増えそうな気がします。

調達資金の使途

現状では

  • 既存コンサルサービスを効率化するための投資

  • 新規コンサルサービスを開発するための投資

  • 事業規模の拡大に応じた組織を構築するための投資

  • 海外進出のための調査費

終わりに

目論見書読んでて強みだと思うのは

  • コスト削減に為にも限られた人員を割かないといけないようなクライアントからの視点だと、その道のプロに任せられる。

  • 成功報酬形態なので最初の持ち出しがないので導入しやすい。

  • 経験値やノウハウが増えるほど、コスト削減率の高まり。

  • マクロ的にはコスト削減ニーズはコンスタントにあるはず。不況期は余計強まるかもしれない。

2Q時点での累計 売上高営業利益率 48% フリーキャッシュフロー/売上高 16%

BBの期間は終わってしまいましたが、もともと成功報酬型のコンサルには興味あり、それこそまっとうなコンサルの姿じゃないかと常々思っていたので、同社の業績には注目したいです。